私がペットシッターをやろうと思ったのは、コロナ禍のタイミングでした。あの頃、多くの人が自分の内面を見つめ直したと言われていますね。
私も例外ではなく、外出や人との接触が制限される中、当たり前だと思っていた日常が当たり前ではなかった事に気付かされました。先行きの見えない不安や感染への恐怖が無かったわけではありませんが、思いがけず手に入れたこの時間を有意義に使いたいという気持ちの方が強かったと思います。
先ずは、いつかやろうと思いつつも手をつけていなかった断捨離と自分自身の棚卸しから始めました。捨てるに捨てられずクローゼットに眠ったままであった父の遺品の数々、母が若い頃に着ていてもう着れなくなった衣類の山、手続きが面倒で放ってあった粗大ゴミ、勿論、自分自身の着なくなった衣類も沢山ありました。黙々と片付けに没頭していると集中力も高まり、心の中までもがスッキリと整理されていくのがわかります。過去から現在に遡って自分を見つめ直すのには打ってつけの時間でもありました。
当時の私はファッション業界のPRの仕事をしていました。かれこれ30年近く同じ仕事をしてきましたので、一つのレールの上を淡々と歩んできたと言っても過言ではありません。その仕事に不満や迷いがあったわけではありませんが、ふと思ったのですね。これは私が本当にやりたかった事なのかどうかと。子供の頃まで遡り、あれが好きだった、あれをやってみたかった、あれが得意だった・・などと思いを巡らせていると、ワクワクしてくるのです。そして、やりたかったけれどやれなかった事、全部やってやろうという気持ちになりました。
その一つが動物に関わる仕事。私は子供の頃から動物が大好きで、たくさんの犬・猫・インコと共に育ってきました。それもお世話をするのが好きだったのです。幼少期は、まだ羽の生えそろっていないインコの雛鳥を温め、さし餌をあげ、寝床を整え、糞の始末をしたりしていました。小学校に上がると犬を買ってもらい、今までに7匹の犬と2匹の猫と暮らしてきました。そのため、家族全員で泊まりがけで出かけることがほぼありませんでした。当時からペットホテルは存在していましたが、「預けるのは可哀想だから自分は留守番する」と家族の誰かが言い出すのです。けれど、両親を亡くした今となっては、一緒に旅行に行っておけば良かったとつくづく感じています。
動物を飼うことのデメリットの一つとして、旅行や外出が制限されることが挙げられます。気軽に頼めるペットシッターが居れば、そんな悩みも軽減できるはずです。私はフリーランスで仕事をしていますので、会社勤めの人よりも時間の融通が利きます。それなら本業の傍らでペットシッターもできるはずだと思ったのがきっかけです。時はコロナ禍ですので、時間はたっぷりあります。情報収集から始まって、ペットシッター育成の専門学校に通学し、動物介護士の資格を通信教育で取得し、動物取扱責任者と事業者の登録を済ませるまでで約半年。その後、ホームページの作成、名刺、申込用紙、領収書等事務用品を準備するのに約3−4ヶ月で完了しました。
こうして、二足の草鞋を履くような生活が始まりました。